心持ちあなざー。版。
 橙⇒蛍光緑。
































 街に出ると一番にアイツがいそうな場所を探してしまう癖がついていた。
 いつだって目はあの蛍光緑な髪の毛を捜し、耳はあの少し掠れた男の声を捜し、足はアイツがいそうな方向へと勝手に進む。


 そして、見つけた。


 何をやっているんだろうと思う。
 なんとなく声を掛けられなくて一歩進んだ足は止まるのだ。


 アイツの……ビィトの隣にいるリースの知らない人間を観察する。
 多分仕事仲間だろう。ビィトはあまり仕事の話をしてくれないから推測でしかないけれど。


 いらっとした足は思わず二歩下がる。


 ああ、早く気付けよ馬鹿。
 なんでリースが声を掛けなきゃいけないんだ。
 こっちはいつだってビィトのことを捜す癖がついてるのに、どうしてあっちはリースのこと捜してないんだよ――――なーんて自分勝手に思ってしまう自分に腹が立つ。


 早く気付け。
 それから「何してんだ」って言え。
 そうしたらさっき買ったばかりのものを突き出して「買い物しにきた」って言えるじゃないか。
 一人で帰らせるなんて真似をしたら怒る。
 リースはこんなにも捜してきたのに、なんてことは言えないけれど密かに怒ってやる。


 だから早く気付け。
 リースの存在に気付いてこっちを向いてよ。



 そしたら「一緒に帰ろう」って手を繋ぐことも出来るのに。





攻略お題:「離れそうな心に10のお題」の「一歩進んで二歩下がる」


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